Essay to the Architect   
Copyright © 2007/7/1   H. Koike        
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| | 序3 |  | 2007/08/13
 
序3アメリカは1970年当時、総人口が約2億人に対し、アメリカ建築家協会
 (AIA)の登録建築家は30,000人であったので人口約6700人に一人
 の割合と推測される。2007年現在は総人口が約3億人に対し、登録建
 築家は10万人いるので人口3,000人に1人の割合となる。
 日本は1949年5月24日、法律第202条により現在に至る建築士制
 度を確立したが、2007年現在の日本は総人口が約1億2千7百万人
 に対し、1級建築士30万人に加え2級建築士や木造建築士等も含め
 た複雑な制度となっている。1級建築士で設計を本業としている数は6
 万人と言われ、人口2100人に一人の割合となっている。設計を本業と
 する1級建築士の数はアメリカの登録建築家に比べた場合、約3割多
 い事になるが、専業で無い1級建築士を入れるとあまりに多すぎる。この
 ような状況は、他有資格者を含めた過当競争を作り出し、建築家として
 の独立性や倫理性の自覚もなく下請けとして、中高層マンションやビル
 群を作り出した。最近、回転扉事故で話題になった有名ビルも建築家不
 在の建築物であった。
 
 残念ながら、私が所属する日本建築家協会は日本を代表する職能団体
 と自負するが、社会での認知や量的にも太刀打ち出来る状態になって
 いない。 もっと、個人としての独立性と倫理性を持った仲間を増やし、
 建築家が社会に認められるように努力しなければならない。 我々の報
 酬の基礎となる国土交通省が示す技術者単価は約9年間下げられ続
 いている。 地方公共団体の多くが社会的倫理性の欠如から建築家の
 仕事を入札にかけると言う行動を取っている。 我々建築家は手持ちの
 仕事に没頭しすぎたあまり、このような状況を見逃してきた事を反省しな
 ければならない。 また、はるかに量的に多い街の環境を形作る仕事に
 取り返しが出来ないほど無関心だった事を反省しなければならない。
   
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        | | 序2 |  | 2007/07/01
 
序2建築は歴史的存在者である人間の生きた証としての文化の結晶である。
 それは、われわれの生存にかかわる労働、遊び、スポーツ、教育、研
 究、宗教、保健、旅行、食事、睡眠さえも方向付け、人間とその日常生
 活に直接影響を与える環境であり、雰囲気や気分とを創造する術とな
 る。
 引いた一本の線は単純ではあるが、その意味と影響は計り知れないこと
 を建築家自身は肝に銘じなければならない。
 
 「例えば、月に到達するロケットのプログラムに使用している手段をみて
 みると、それは気の遠くなる程複雑であるけれど、その結果は単純で全
 く矛盾などはない。建物のプログラムや構造に用いている手段は、他の
 どのような工学のプロジェクトに比べても、はるかに単純であり、工学的
 にも、もっと簡単であるが、その目的はもっと複雑で不確定である。」
 −ロバート・ヴェンチューリ(アメリカの建築家)
   
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        | | 序1 |  | 2007/07/01
 
序1「建築家は永遠の旅人だ」とあるエッセイストが言う。
 新しい地を訪れることを恐れない好奇心の塊のような心を持った旅人だ。
 見ること聞くこと、そして確かな感性を持った旅人だ。新しい土地を訪れ
 た時から人の生活が始めるまで。
   
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